闇口崩子ヒミツのレポート

Twitterで小説かいた

 

闇口崩子ヒミツのレポート

 

 戯言遣いのお兄ちゃんの寝顔に無言でおはようと言う。毎日の日課である。私は主従を弁えた慎ましい少女なので無為にお兄ちゃんの睡眠を妨害することはない。

 少し、誤解を招く表現だったことお詫びします。私は主従の関係上朝の挨拶行い、かつお兄ちゃんの睡眠を邪魔しないという両ベクトルの行動を同時に処理するため、屋根裏から慎ましやかにお兄ちゃんへのおはようを済ませている。無論ここに下卑た欲望などは一切介在しません

 

 しかし、日常というものはい容易く崩れてしまうものが世の定めである。ある曇り模様の朝、お兄ちゃんの寝顔を鑑賞、もとい、お兄ちゃんに挨拶を済ませようと屋根裏に開けた穴を覗くと、お兄ちゃんの部屋になんと―――

 

 女が寝ていた。殺さねばならない。

 

 殺害すべき侵入者は壁に向かって丸まっているため顔は見えない、服装は澄百合高校のセーラー服。私は愛用のバタフライナイフを音もなく開いた。お兄ちゃんは少し離れた所でお腹を出して眠っている。可愛い。二人の間にはビールの缶がいくつも転がっていた。

 

 女子高生。連れ込み。飲酒。朝。  あってはならないオンパレード。もはやお兄ちゃんを世間から守れるのは私しかいない、だれも気が付かないうちに処理しなければ。呼吸は正常、汗もかいていない。自分でも驚く程に冷静。人を殺すには最高のコンディションだ。

 

 屋根裏の暗闇は曇り模様のせいか普段よりも空気が湿っている、ツーっと汗が私の頬を伝う。音もなく屋根を開け、不届きな間女に向けてナイフを構える。少し、気にかかった。私は汗などかいていない。頬を伝う液体これは―― ポタッ、屋根裏に水跡。私の、上から?

 

 いる。――何かがいる。息を潜めて私を見ている。すぐ上にいる。ギシ……と、木を素手で掴む音。天井裏の天井に何者かが張り付いて私のことを見ていたのだ。頬を流れる汗、今度は私のものだった。私は首を左に回し上に視線をやる。そこにいたのは目をぎらつかせた。

 

 心臓を直接素手で引きぬかれたような衝撃。不覚にも声を上げてしまいそうだったが、すんでのところで知り合いだったと気がつく。その血走った目をしたソレは口元で人差し指を立てる。なぜ、なぜだ。−−−―なぜ魔女のお姉さんがこのようなところに。

 

 よだれを垂らす魔女のお姉さんは澄んだ瞳で屋根の下、あの憎き女が眠っている方を指さす。――魔女のお姉さんがよだれを垂らし目を血走らせ見ていたものは、部屋にいるのはお兄ちゃんと――。ソイツが寝返りをうつ、仰向けになった猫のような体勢そして頬には刺青が。

 

 零崎人識。殺人鬼が女装をしてお兄ちゃんの部屋で一夜をすごしていたのである。なんということだ。なんということだ。おにいちゃんのおへそが見えている。零崎人識は仰向けになったためスカートの中を見せている。

 

 かくして私は普段通りお兄ちゃんに挨拶を終え、魔女のお姉さんと屋根裏で朝食をとった、昨夜なにがあったのかを静かに聞きながら。――無論、倫理に悖るような行いは一切なかったことをここに誓おう。お兄ちゃんの部屋の窓から陽の光にあたったアスファルトが見えた。

 

 美味しい朝食を終えた所でお兄ちゃん達が目をさます、今日はこれでお開きだ。昨夜のお話はレポートまとめて誰の目にも触れないところに隠しておこう。なぜならこのレポートは、闇口崩子ヒミツのレポートなのだから。

 

おわり

 

 

崩子ちゃんいず天使。

声をかけてくれたりファボしてくださった方々に感謝です。

そこそこふぁぼられたわけなのですが、なぜかリツイートがひとつもなかった。

いままではファボもリツイートも混在していたのに今回に関してはお気に入りのみ、

どっちも嬉しいからあまり違いは意識していなかったけど、

これだけ数が違うと不思議に感じる。

連載ものだったからこその偏りだったのかな。

 

 

 

かぼちゃ